漠然と物事について考えをめぐらしてみるものの、文章化したりまとめたりするのは難しくて苦手意識をもっている人は多いと思います。
今回はそんな時の対処法について書かれた外山さんのベストセラー「思考の整理学」について紹介します。
新版はこちらです↓
作者や出版社は?
外山さんは幅広い多数の分野で著書を出されています。
英文学者、言語学者、評論家など多くの肩書きがあり、お茶の水女子大学の名誉教授でもあります。
ベストセラーになった本書の累計発行部数はなんと270万部を超えているそうです。
こんな人におすすめ!
頭の中の情報がスッキリしない
文章を書く時のテーマが決められない
本の要約やまとめに苦手意識がある
勉強している方に参考になる情報がたくさん詰まっています。
読み終えた時にはこれらの悩みが解決されているはずです!
読んだきっかけ
クイズ番組「東大王」に出演されていた水上颯(そう)さんがQuizKnockのホームページ内のコラムで本書をおすすめされていたのがきっかけです。
水上さんと「東大王」のファンだった私は本書が気になり買ってみました。
好きな人のおすすめ本は積極的に読んでいきたいです。
本の内容は?この本を読んでわかること
本書では部屋の掃除や整理整頓だけでなく、頭の中も意識的に整理する必要があると書かれています。
整理と一言で言ってもどうすればいいの?どんな方法があるの?
具体的な方法が書かれていますので、できることから実践していきましょう。
外山さんの教育についての考え方もわかります。
グライダー教育への危惧
外山さんは学校教育を次のように例えられています。
学校教育=グライダー教育
学校教育は教師に教えられて頭に詰め込むものであって自力で知識を得るものではない、グライダー(自力で飛ぶことができない)のようなものである。
今までのグライダー教育では試験で高得点をとる、つまり記憶と再生が得意な人が優秀とされてきましたが、コンピューターの登場によって求められる人物像が変化しました。
人は間違えることがありますが、記憶と再生という点でコンピューターは決して間違えないので、人はコンピューターに勝つことはできません。
これからはコンピューターのできない創造的な仕事が求められます。
頭の整理には忘れることがきわめて大切
思考の整理には、忘却がもっとも有効である。
思考の整理学 外山 滋比古
忘れることに罪悪感がありました。
忘れることは何だかいけないことのように思っていました。
その原因について考えてみました。
忘れることはいけないと錯覚する原因
・学校教育で暗記の重要性について指導されるため
・記憶力や記憶術に関する書籍がたくさん出版されているため
学校の授業では「覚えておくように」「忘れないように」と言われますし、記憶していないと試験で赤点をとって留年してしまいます。
そして、「記憶力が良いことは素晴らしい」とされていると、逆に忘れることはダメなことなんだと錯覚してしまいます。
確かに記憶力が良いと有利な場面は多いです。
だけど記憶ばかりしていると頭の中がパンクしてしまいます。
頭の整理のためには忘却が大切なんですね。
ただし、記憶しておくことと忘れることを間違えないように、ぶれない価値観をもつ必要があるとのことです。
ものを考える時は人は無心であるべき
人は無心である時、そしてリラックスしている時に新しくて面白い思いつきが生まれやすいとのことです。
確かに、お風呂に入っている時に普段は考えもしないアイデアが思いつくことがあります。
なかなか解決できない問題について、いつもと違う場所で考えることで解決した事例もあるそうです。
環境を変えて別の角度から考えてみる、という方法は良さそうだと思いました。
この本から得られた気づき
意識的に知識を捨てよう
それでも、知識のあるものはすてなくてはならない。
思考の整理学 外山 滋比古
それを自然に廃棄して行くのが忘却である。意識的にすてるのが整理である。
この文章を読んだ時に衝撃を受けました。
新しい知識を頭に入れるために不要な知識は捨てる必要がある…は理解できます。
頭の中にも容量がありますからね。
この「知識を捨てる」とは、「自然に忘れること(忘却)」だと思っていました。
「意識的に捨てる」とは忘却ではなく、意識して頭の中から消すということなんですね。
そんな作業をしたことがなかったので、まず「そんなことが可能なんですか?」と驚きました。
頭の中を整理して捨てたい知識を選んだら、意識的にその知識について考えないようにする。
この作業を続けることで、徐々に頭の中から消すことができるのもしれないと考えました。
「意識的に」というところがポイントですね。
コンピューターができないことをしよう
記憶と再生が得意なコンピューターに、知識という点では勝てません。
コンピューターができないこと、それは創造的な仕事です。
読んだ本から得た学びをまとめたり感想を書く行為も、創造的といって良いのではないでしょうか?
創造的能力を養うために、何でもいいので文書を書いてみることをオススメします。
外山さんもまずは書き出してみることが大切だとおっしゃっています。
感想
1980年代にこの本が出版されていたことに驚きました。
外山さんは本書の中で、コンピューターの登場によりこれからの人間は創造的能力が必要になると書かれています。
コンピューターの仕事ですが、例えば
・ファミリーレストランに行けばロボットが食事を運んでくる
・お店の会計はセルフレジで行う
これらは日常のものになってきました。
人間の仕事がコンピューターに奪われています。
外山さんの危惧していた通りになっています。
80年代に数十年後の未来をここまで予測されていたとは…。
外山さんの先見の明が素晴らしいですね!
この記事に書いたことは本書のほんの一部です。
たくさんの学びが得られますので、ぜひご一読下さい。