レビュー 伊坂 幸太郎『サブマリン』時間が和らげない悲しみなどない

今回は伊坂幸太郎さんの小説『サブマリン』をご紹介します。
『サブマリン』は、伊坂さんの小説『チルドレン』の続編になります。
チカチカ

『チルドレン』のレビュー記事も書いていますので、こちらもあわせてどうぞ♪

目次

作者や出版社は?

作者:伊坂 幸太郎
出版社:‎講談社(講談社文庫)
発売日:2019年4月16日(単行本は2016年3月30日)

伊坂さんは本屋大賞、山本周五郎賞、柴田錬三郎賞など数々の賞を受賞されている大人気作家です。

2000年にデビューして以来ずっと絶え間なく新作を書き続けられていて、多数のヒット作を連発されています。

チカチカ

多くの作品がメディア化されています。
特に映画化が多いですね。

こんな人におすすめ!

こんな人におすすめします

会話劇が面白い小説が読みたい
魅力的な登場人物がたくさん出る小説が読みたい
伊坂さんの小説『チルドレン』を読んだことがある

チカチカ

いろんなところに伏線が張られています。
続きが気になって最後まで一気に読んじゃいます!

読んだきっかけ

『チルドレン』が大好きなので続編が読みたかったから

『サブマリン』の前作である『チルドレン』は、とてもあたたかい作品で私にとって大切な小説なんです。

特に登場人物・陣内のキャラクターが好きで、続編が発売されていることを知ってすぐに購入しました。

チカチカ

今回は陣内はどんな活躍をするんだろう?と、わくわくしながら読みました。

本の内容は?どんな話?

どんな話?

家裁調査官の武藤(むとう)は、無免許事故を起こした少年を担当することになった。
その少年は、武藤の上司・陣内(じんない)と面識があった。
両親を交通事故で亡くしている少年が、なぜ事故を起こしてしまったのかー…。

読み進むにつれて「これはなんでだろう?」と疑問に思う箇所がいくつも出てきます。

その答えが気になって、「こうじゃないかな?」と自分自身で推理しながら読んでいました。

ミステリー作品ではないのにも関わらず、謎解きをしているような気分になりました。

チカチカ

罪の重さについて考えさせられる一冊です。

『サブマリン』の名言

チカチカ

本書の中で、「これは名言!」と感じたセリフをご紹介します。

育児書を書いた人の子どもは、いい人になっているのか

以前、陣内さんが真顔で、「その育児書を書いたやつの子供は、どんな風に育ってるんだ」と訊ねてきたが、嫌味や皮肉ではなく、僕もそれは知りたかった。育児書の著書の子供はいい人間、いい大人になっているのか。それ以前に、いい人間とはどのような人を指すのか。

サブマリン
伊坂 幸太郎
どんな場面の言葉?

陣内の言葉を、武藤が思い出している。
武藤が無免許事故の現場にて、たまたま居合わせた女性と会話をしている場面。
少年犯罪を犯してしまう加害者の家庭環境について、思いをめぐらしている。

この陣内の言葉を読んで、ハッとしました。

確かに、特定のジャンルで本を書くにはそのジャンルでの実績が必要です。

チカチカ

たとえば、ビジネス本の著者はビジネスで一定の成功を収めていますよね。
それなら、育児論の著者も育児で成功(=子どもが良い人間に育つ?)していないと説得力がないのでは、ということですね。

私は幼い子どもを育てているので、育児について気づいたことを発信したいと思う時があります。

だけど、「育児論を語れるほど立派な子どもに育っているのか」と聞かれると頭をひねってしまいます。

もちろんかわいくて良い子なのですが、それは親目線。

そう考え出すと、子育ての成功って一体何?良い人間って何?という疑問に行き当たります。

チカチカ

どこからが良い人間でどこからが悪い人間なんて、定義できないです。

時間が和らげない悲しみなどない

陣内さんは、足元に目を落とし、しばらく黙った。「昔から、時間が和らげない悲しみなどない、と言うけどな」

サブマリン
伊坂 幸太郎
どんな場面での会話?

陣内のセリフ。
武藤と陣内が、無免許事故を起こした少年の関係者に会いに行く場面。

陣内が言うには、悲しいことがあったとしても時間が癒してくれる。

このセリフから、武藤は陣内には過去に深く悲しい出来事があったのではー?と連想します。

チカチカ

人は、ずっと悲しみの中にいては生きていけないから。
だからどんなに時間がかかっても、生きている限り、悲しみは薄れていくのだと思います。

この本から得られた気づき

加害者と向き合うことの重要性

加害者の話を聞くことによって、事件や事故の印象が変わる

『サブマリン』では、交通事故で人が亡くなっています。

交通事故の原因といえば、不注意による運転ミス、飲酒運転、無免許運転…様々です。

事故の結果が同じだとしても、その経緯によって受ける印象が変わります。

何か理由があったのかもしれません。

だからこそ、一人一人と向き合って話を聞く必要があるんですね。

チカチカ

法を犯した経緯を聞いてみないことには、判断ができないですね。

感想

・伏線回収が素晴らしい
・陣内のキャラクターがよりパワーアップしていて、かっこいい

伊坂さんの小説は、あちらこちらに伏線が張りめぐらされています。

伏線が回収されるシーンを読んで

チカチカ

えっこれ伏線だったの!?

と、後になって気づいたりもしました。

そして、陣内のキャラクターやセリフは前作と同様にかっこよかったです。

「今回も陣内活躍しているかな?」と読み始めた方に、断言できます。

その期待、裏切りません!と。

特に終盤で陣内のかっこいいシーンがあるので、最後まで絶対に読んでほしいです。

チカチカ

重いテーマであるのにも関わらず、不思議と読後感がさわやかでスッキリします。

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