
『チルドレン』のレビュー記事も書いていますので、こちらもあわせてどうぞ♪


作者や出版社は?
伊坂さんは本屋大賞、山本周五郎賞、柴田錬三郎賞など数々の賞を受賞されている大人気作家です。
2000年にデビューして以来ずっと絶え間なく新作を書き続けられていて、多数のヒット作を連発されています。



多くの作品がメディア化されています。
特に映画化が多いですね。
こんな人におすすめ!
魅力的な登場人物がたくさん出る小説が読みたい
伊坂さんの小説『チルドレン』を読んだことがある



いろんなところに伏線が張られています。
続きが気になって最後まで一気に読んじゃいます!
読んだきっかけ
『サブマリン』の前作である『チルドレン』は、とてもあたたかい作品で私にとって大切な小説なんです。
特に登場人物・陣内のキャラクターが好きで、続編が発売されていることを知ってすぐに購入しました。



今回は陣内はどんな活躍をするんだろう?と、わくわくしながら読みました。
本の内容は?どんな話?
どんな話?


読み進むにつれて「これはなんでだろう?」と疑問に思う箇所がいくつも出てきます。
その答えが気になって、「こうじゃないかな?」と自分自身で推理しながら読んでいました。
ミステリー作品ではないのにも関わらず、謎解きをしているような気分になりました。



罪の重さについて考えさせられる一冊です。
『サブマリン』の名言



本書の中で、「これは名言!」と感じたセリフをご紹介します。
育児書を書いた人の子どもは、いい人になっているのか


以前、陣内さんが真顔で、「その育児書を書いたやつの子供は、どんな風に育ってるんだ」と訊ねてきたが、嫌味や皮肉ではなく、僕もそれは知りたかった。育児書の著書の子供はいい人間、いい大人になっているのか。それ以前に、いい人間とはどのような人を指すのか。
サブマリン
伊坂 幸太郎
陣内の言葉を、武藤が思い出している。
武藤が無免許事故の現場にて、たまたま居合わせた女性と会話をしている場面。
少年犯罪を犯してしまう加害者の家庭環境について、思いをめぐらしている。
この陣内の言葉を読んで、ハッとしました。
確かに、特定のジャンルで本を書くにはそのジャンルでの実績が必要です。



たとえば、ビジネス本の著者はビジネスで一定の成功を収めていますよね。
それなら、育児論の著者も育児で成功(=子どもが良い人間に育つ?)していないと説得力がないのでは、ということですね。
私は幼い子どもを育てているので、育児について気づいたことを発信したいと思う時があります。
だけど、「育児論を語れるほど立派な子どもに育っているのか」と聞かれると頭をひねってしまいます。
もちろんかわいくて良い子なのですが、それは親目線。
そう考え出すと、子育ての成功って一体何?良い人間って何?という疑問に行き当たります。



どこからが良い人間でどこからが悪い人間なんて、定義できないです。
時間が和らげない悲しみなどない


陣内さんは、足元に目を落とし、しばらく黙った。「昔から、時間が和らげない悲しみなどない、と言うけどな」
サブマリン
伊坂 幸太郎
陣内のセリフ。
武藤と陣内が、無免許事故を起こした少年の関係者に会いに行く場面。
陣内が言うには、悲しいことがあったとしても時間が癒してくれる。
このセリフから、武藤は陣内には過去に深く悲しい出来事があったのではー?と連想します。



人は、ずっと悲しみの中にいては生きていけないから。
だからどんなに時間がかかっても、生きている限り、悲しみは薄れていくのだと思います。
この本から得られた気づき
加害者と向き合うことの重要性


加害者の話を聞くことによって、事件や事故の印象が変わる
『サブマリン』では、交通事故で人が亡くなっています。
交通事故の原因といえば、不注意による運転ミス、飲酒運転、無免許運転…様々です。
事故の結果が同じだとしても、その経緯によって受ける印象が変わります。
何か理由があったのかもしれません。
だからこそ、一人一人と向き合って話を聞く必要があるんですね。



法を犯した経緯を聞いてみないことには、判断ができないですね。
感想
・伏線回収が素晴らしい
・陣内のキャラクターがよりパワーアップしていて、かっこいい
伊坂さんの小説は、あちらこちらに伏線が張りめぐらされています。
伏線が回収されるシーンを読んで



えっこれ伏線だったの!?
と、後になって気づいたりもしました。
そして、陣内のキャラクターやセリフは前作と同様にかっこよかったです。
「今回も陣内活躍しているかな?」と読み始めた方に、断言できます。
その期待、裏切りません!と。
特に終盤で陣内のかっこいいシーンがあるので、最後まで絶対に読んでほしいです。



重いテーマであるのにも関わらず、不思議と読後感がさわやかでスッキリします。