この本を読むと、絶望するかもしれません。
それでも、本当のことが知りたい。
日本の現実に向き合いたい方へ、おすすめします。
作者や出版社は?
秋嶋さんは全国紙系媒体の編集長を退任後、社会学の作家に転向されました。

多数の著書が発売されています。
こんな人におすすめ!
メディアが報じない真実を知りたい
現代社会に疑問を持っている
政治に不満を抱いている
日本が直面している、様々な社会問題について書かれています。



内容は難しいですが、平易な文章なので読みやすいです!
読んだきっかけ
- 自分が住む日本のことをちゃんと知っておきたい
- あまり理解できていない政治や外交のことを学びたい
そんな思いから、書店で探して購入しました。



知らないことばかりで、勉強になります…!
本の内容は?この本を読んでわかること
どんなことが書いてある?


ジャンルは社会学です。
書籍の内容は、著者の秋嶋さんによると
「一切の解決編を記していない、混迷を深める209の概説」
とのことです。
209の概説とありますが、1ページにつき1説の構成で、文章は短めなので読みやすいです。
それぞれの説が前のページの説からの流れを受けて展開しているので、最初から順番に読むことをおすすめします。



問題提議や専門用語の解説が主となっています。
下記の章ごとに分類されています。
・第2章 「政治が存在しないこと」について語ろう
・第3章 原発事故は終わっていない
・第4章 メディアという意識の牢獄から抜け出す
・第5章 生き残るために世界の仕組みを知ること
章ごとのタイトルを見ると、少しドキッとします。
本文中で特にじっくり読み込んだのは、
✔️TPP(環太平洋連携協定)の真実
✔️移民の受け入れによって引き起こされる雇用問題
✔️政治の裏側
✔️原発事故による被害
です。



どのテーマも気になります…!
私たちはメディアに洗脳されている


メディアと政治の深いつながりについて、書かれています。
著者の秋嶋さんによると、メディアは次のような役割を果たしています。
- 偏った層からの集計により、政府が望む世論調査をでっちあげる
- 本当に重要な情報を報道しない
- 国民の知的レベルを下げる番組を放送する
メディアの報道内容がどこまで真実なのか、判断するのは難しいです。
それでも、「これは本当?」と、自分で考えてみることが大事なのだと思います。



メディアが発信している情報を信頼しすぎない、一定の距離感を保って情報に向き合うようにします。
印象に残ったポイント



本書の中で、特に印象深かった箇所を引用します。
少子化の原因は構造改革にある


そもそも少子化(労働者不足)は構造改革が原因なのです。
続・ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―16歳から始める思考者になるための社会学―
つまり2003年の派遣法改正によって労働者の半数近くが低所得の非正規社員となり、その結果として世帯数が激減し、出生率は戦後最悪に落ち込んでしまったのです。
秋嶋 亮
少子化対策とは名ばかりで、政府の政策は国民を苦しませるものばかり。
相次ぐ増税、物価高騰、低賃金…。
子どもを生み育てるための制度や手当をいくら整備しても、肝心の所得が低いままでは子どもがほしいという人は増えません。



政治家はこのことに気づいているのでしょうか?
もし気づいているのなら…。
実際に日本で押し進められている政策について考えてみると、政治家がどのような意図をもって動いているのかが見えてきます。
学校はステレオタイプの人間を生産する


哲学者のM・フーコーは「学校は教会や軍隊や軽虫と同じ装置である」と主張しました。要するにいずれも鋳型でモノを成型するようにステレオタイプの人間を生産する手段だと洞察したのです。
続・ニホンという滅び行く国に生まれた若い君たちへ―16歳から始める思考者になるための社会学―
秋嶋 亮
そもそも、国民が政府の決定に対して従順であり続けているのは、学校教育が原因です。
学校では、一定のルールが存在しています。
- 教師の言うことは絶対で、規則に逆らってはいけない
- 授業はひたすら暗記で、授業内容は真実であり、そこに疑問をもってはいけない



学校で習うことは本当?嘘かも?
なんて、考えたことなかったです。
学校教育が生産するステレオタイプについて、私はこのように考えています。
- 上の立場の人に従順になる
- 与えられたものに疑問をもたなくなる
- 周囲と同じ思考をするようになる
また、学校教育の危惧については、こちらのレビュー記事でも触れています。


秋嶋さんによると、学校は「準軍隊」であり残酷なのが当たり前、だそうです。
近年、不登校になる子どもの数が増加して、深刻な社会問題となっているのも当然です。



不登校を悲観的に捉えすぎないでほしいです。
この本を読んで変わった!
自分の中にぶれない芯を持つ


この書籍を読んでから、「自分の物差しで考える」ことを強く意識するようになりました。
「〇〇さんがこう言ってたから…」
「どう思われるかわからないから…」
という思考をできる限りなくして、自分自身の価値観で考える癖をつけたいと思っています。
たとえ多数の人と違う思考になったとしても、ありのままの自分でいることのほうが大事なんです。



自分らしさを大切にしたいです。
感想
日本の現実を知るために、この本を一人でも多くの人に読んでほしい
タイトルに「若い君たちへ」とありますが、若い方だけでなく老若男女、多くの方に読んでほしい本ナンバーワンです。
日本に住んでいて、国内の社会問題に無関係の人はいないのですから。
日本が直面している深刻な問題を知ると、自分の抱えている悩みがなんてちっぽけでささやかなものなんだろう…と感じます。
こちらの書籍を読み終えて思うのは、子ども達の未来が心配ということです。
日本の未来を想像すると、とても明るく前向きな気持ちにはなれません。
子どものために、親としてできることは何だろう。
子どもに残せるものは何だろう。
後悔のないよう、自分にできる限りのことはしたいです。



社会学というと難しそうなイメージがありましたが、とても読みやすい本でした。