レビュー 森沢 明夫『おいしくて泣くとき』温かな奇跡に感動する

森沢明夫さんの 『おいしくて泣くとき』をご紹介します。

こちらの作品は映画化が決定していて、2025年4月4日に公開予定となっています。

目次

作者や出版社は?

作者:森沢 明夫
出版社:‎角川春樹事務所(ハルキ文庫)
発売日:2022年5月18日(単行本は2020年6月3日)

作者の森沢明夫さんは、小説がたくさん映画化されている大人気作家です。

チカチカ

小説の他にも、エッセイやノンフィクション、絵本など幅広い分野で活躍されています。

こんな人におすすめ!

こんな人におすすめします

心が温かくなる話が読みたい
キラキラした青春小説が読みたい
感動したい

チカチカ

読むと心が温まって、ほっこりした気持ちになります…!

読んだきっかけ

映画で主人公の心也(しんや)役を演じる、なにわ男子の長尾謙杜さんのファンなんです

もともとなにわ男子のYouTubeや歌が大好きで、メンバー皆さんのご活躍を拝見していました。

その中で、いつも明るくて笑顔が素敵な長尾さんを、気がつけば目で追うようになっていました。

そんな長尾さんが出演される映画の原作が気になって、文庫本を購入してみました。

チカチカ

素敵な小説に出会うきっかけになった、長尾さんに感謝です♪

本の内容は?どんな話?

どんな話?

無料で「こども飯」を提供している『大衆食堂かざま』オーナーの息子、心也(しんや)
心也は足のケガでサッカーができなくなり、行き場のない気持ちを持て余していた。
そして、中学最後の夏休み。
家から逃げ出したいと言う幼なじみの夕花(ゆうか)と逃避行することになった。
二人の行く先は一体どうなる…?

チカチカ

心也と夕花の関係性が少しずつ変化します。
二人の距離感に注目です!

『おいしくて泣くとき』の名言

チカチカ

本書の中で、「これは名言!」と感じた大好きなセリフをご紹介します。

雨が嫌いじゃない。毛羽だった心を落ち着かせてくれるから。

わたしは、子どもの頃から雨が嫌いじゃない。
雨音も、水の匂いも、やわらかくにじむ世界の彩りも、毛羽だった心を落ち着かせてくれるから。

おいしくて泣くとき
森沢 明夫
どんな場面の言葉?

夕花の独白(モノローグ)。
放課後、心也と学級新聞の作業をしている場面。
学校の教室の窓から、激しく降っている雨を見つめている。

「やわらかくにじむ世界の彩り」「毛羽立った心」という表現が本当にきれいだなあと深く心に残りました。

「雨が嫌いじゃない」理由をこんなに美しく表現することができるなんて…!と感動しました。

チカチカ

大好きな文章です!

人の幸せは、『自分の意思で判断しながら生きているかどうか』に左右される

「人の幸せってのは、学歴や収入で決まるんじゃなくて、むしろ『自分の意思で判断しながら生きているかどうか』に左右されるんだって」

おいしくて泣くとき
森沢 明夫
どんな場面での会話?

心也の父、耕平のセリフ。
心也が父に『大衆食堂かざま』のことで、とあるお願いをした時に返ってきた言葉。
もともとは、心也の亡くなった母の言葉である。

息子に対してこの発言ができる耕平が、とても魅力的に思えました。

チカチカ

まだ中学生の息子に「学歴や収入で決まるわけじゃない」と言えるなんて、父親としてすごくかっこいいですよね。

また、もともとは亡くなった母の言葉であるというところが素敵です。

両親二人揃って、心也に生き方を説いているように感じられます。

この本から得られた気づき

何事も自分の意思で決断すること

常識や世間体にとらわれずに自分で決断することが、幸せな未来につながる

心也は、父の耕平が日頃から言っていたように自分の意思で判断した結果、夕花との逃避行を実行しました。

夕花もまた、幼なじみの心也を信頼して頼りました。

二人とも、自分の意思で決断したことです。

この逃避行だけでなく、きっとその後の人生も自分自身で生き方を選んだのでしょう。

だからこそ、ラストの温かな奇跡を起こすことができたのだと思いました。

チカチカ

大切な女の子を守った心也は、最高にかっこいいです…!

感想

心也と夕花の逃避行が、あまりにもキラキラしていてまぶしかったです。

決して幸せな状況ではないのに、二人がうらやましくなるぐらいでした。

二人の逃避行がキラキラしたものに感じられたのは、それがずっと続けられるものではなくて、その瞬間だけの時間だとわかっているから。

切なさを含んでいるからなのかも、しれません。

そして、ラストの温かな奇跡には本当に驚きました。

驚きの後に、胸がいっぱいになって泣けます。

チカチカ

心が洗われる、すごく素敵な小説です。
ぜひお手に取ってみて下さい。

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