お笑い芸人で大活躍中のオードリー若林正恭さんのエッセイ集を紹介します。
本書は雑誌「ダ・ヴィンチ」で連載されていたエッセイをまとめたものです。
作者や出版社は?
文庫本は単行本の内容に未収録エッセイ100ページ以上を追加した完全版となっています。
お得感があります!
こんな人におすすめ!
社会人として成長したい
オードリーのお二人のラジオが好き
笑えるところもあれば切なくなる話もあります。
エピソードが盛り沢山ですよ。
ラジオのフリートークを聴いているような感覚で読めますので、ラジオのファン方にも楽しめる一冊だと思います。
読んだきっかけ
オードリー若林さんのファンで、もともと本書の単行本を持っていました。
未収録エッセイ追加の文庫本の発売を知って「これは読まなきゃ!」とすぐに買いました。
単行本がすごく面白かったので、文庫本の発売を知った時は「やったあ!」と心躍りました♪
本の内容は?おすすめポイントは?
本書には若林さんの3~5ページくらいのエッセイが多数収録されていて、気軽に読めます。
このエッセイ集は若林さんの成長記録と言って差し支えないと思います。
「社会人大学人見知り学部 卒業見込」という本書のタイトルがそれを物語っています。
M-1グランプリの出演をきっかけに人気急上昇した若林さんが、自分の中の反骨精神と戦いながら業界でのしきたりやマナーを覚えていきます。
特におすすめの箇所を引用して紹介します。
ネガティブを潰すには…没頭!?
箱根温泉でゆったり過ごしている時にネガティブな気分になった若林さん。
ネガティブ思考に陥らないようにするためには、リラックスではなく没頭できる状況を作り出すことだと気づきました。
ネガティブを潰すのはポジティブではない。没頭だ。
完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込 若林 正恭
これは名言ですね。
共感する人はかなり多いはずです。
ネガティブを潰すためには?
悩み事がある時に一度考えるのをやめて、自分が没頭できることをやってみる。
するといつのまにか夢中になっていて、「あれ、悩んでいたことを忘れていた…」という状況になる。
私も身に覚えがあります。
これに近い感覚だと思うのです。
体調が微妙に悪い時にパズルを解く癖があります。
パズルを解いている間は解くことに集中(つまり没頭)しているので、体調のことが気にならなくなるんです。
パズルを解き終わった時に「あ、今体調が悪いこと忘れてた」と気づく。
病は気からとは言ったもので、これで体調が回復することがあるんです。
自分が没頭できることは何なのか、日頃から把握しておくと良いかもしれないですね。
穏やかになったのに面白くない…
みんなの言う通りではあったが、みんなの言う通りの世界は面白くもなんともない。
完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込 若林 正恭
業界の先輩や番組スタッフからのアドバイスを素直に受け止め、穏やかに生きられるようになった若林さん。
生きやすくなったのになぜか面白くない。つまらない。
若林さんの中に残っている反骨精神がこう言わせているのかなあと思います。
どこか哀愁が感じられる、この文章が好きです。
若林さんの言葉は、読者の心に刺さるんですよね。
本をたくさん読む方だから?若林さんの才能?
上手だなあと感心しきりなのでした。
この本から得られた気づき
若林さんの素直さ
本書は若林さんの成長記録と書きましたが、それも若林さんの素直さがあってのこと。
アドバイスをくれた人に感謝しながら、自分の中の反骨精神と折り合いをつけながら大人になっていく。
新しいことにも積極的に挑戦する、行動する。
ちゃんと学んで自分のものにしている。
だからこそ現在の若林さんにつながっているんだなあと感じました。
性格は変えなくてもいい
六年前の社会に戸惑っている自分に「感じ方を変えなくてもいいんだよ。隠蔽でいいんだよ」と言いたい。
完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込 若林 正恭
何かに対してくだらないと、ひねくれたような感情をもつことはある。
だけどそれを隠蔽することが礼節であり、それをできるのが「大人」であると、若林さんはおっしゃっています。
要するに、こういうことではないでしょうか?
自分自身を変える必要はない、性格はそのままでいい。
だって変えてしまったら、それは自分ではなくなるから。
中身じゃなくて外側だけを変える。
こういう意味じゃないかなと、受け取りましたよ。若林さん。
感想
エッセイ集のふりをしたネタ本
読み終えて感じたのが、
この本はエッセイじゃない
エッセイ集のふりをしたネタ本じゃないか!
と言いますのも、エッセイの最後にいつもきれいにオチがついているんですよ。
これはもはやネタ本と言っても過言ではないのでは?
最大級の褒め言葉のつもりで書いています。
エッセイって自分の身に起こったり思ったりしたことを書くもの…ですよね?
そこに毎回オチをつけるって、どれだけ大変なことなのでしょう。
オチ、もしくは心に刺さる一言であったり。
若林さんは偉大だなあと思います。
「卒業見込」は若林さんからのメッセージ?
読者のみなさんはきっと、若林さんの保護者のような気持ちで本書を読まれたのではないでしょうか。
本書のタイトルの「卒業見込」は、若林さんの「もう大丈夫、この業界でやっていけそう」というメッセージだろうか…少し寂しい気持ちになるなと考えていたら、違いました。
さすが若林さん!ここに若林さんの「男気」のようなものを感じました。
勘違いしてすみませんでした。
「卒業はしない、ずっと卒業見込の状況でいる」ってことですね。
それって、ずっと卒業に向けて頑張っている状況が続くってことですよね。
うん、いいかもしれない。
若林さんを身近に感じる
本書は若林さんが自分の内面をありのままにさらけ出した、等身大のエッセイです。
読み終えた頃には、テレビの中の人である若林さんを「リアルな人として」身近に感じるようになっていました。
今度テレビで見た時に「あ、若林さんだ」とまるで親戚のような友達のような、そんな目で見てしまいそうです。
会ったことのない人なのに、そんな風に感じる。不思議ですね。
本の力って偉大ですね…!
このエッセイの感想で「共感した」という声がたくさん届いたそうです。
若林さんを身近に感じたのは私だけじゃなくて、多くの読者の方もきっとそうなんだと思います。
これも全て、若林さんのエッセイの魅力があってこそですね。